高村正彦という自民党副総裁 ……抑止力?

 今年の2月、北朝鮮人工衛星打ち上げというミサイル発射実験の予告が話題になったころ、高村正彦という自民党副総裁が、ニュースが何かで喋っているのがテレビに映った。
 高村氏は、山口県周南市が地元で、父親の地盤をうけついだ国会議員で、元は河本派だという。去年、安倍政権の下で、多数の憲法学者違憲だという意見を述べていた安保関連法制成立に尽力していた弁護士である。
 弁護士だというのに、政府も否定してきた、憲法が認めない集団的自衛権の正当性を国会などで繰り返すのには、人格が崩壊した人が政治をしている現代の日本の危機を感じざるを得なかった。
 国語力が疑われる有力が閣僚が、ワイマール体制を壊したナチスの手法に学べ、とヨーロッパで広言し顰蹙をかった。それでも未だにその閣僚は政府中枢に居座っている状況がある。首相も、自分の言説の論理や根拠が如何に他から疑われようとも、いよいよ気持ちを高揚させて、むやみにいかがわしい言説を繰り返すあぶない状況がある。高村氏は、かつては郵政民営化に疑義をもったくらいだから、少しは常識や論理をお持ちの方だったのだろう。
 それが、今や、二大巨頭に勝るとも劣らぬ精神状態のようである。
 高村氏は、北朝鮮がミサイルを日本などにむけて発射する演習をすると言った。本人は、それをどのように考えているのか、つまり、その精度や威力をである。少し前に、水爆実験の成功したと北朝鮮は発表したが、それを文字通り信用する人はいないが、変に感情を逆なでしないようにと思っているのかもしれない。
 高村氏は、これからミサイルが大量に日本向けになってくるという。そうすると集団的自衛権である。アメリカに三百という迎撃ミサイル基地の設置をしてもらう。その三百というミサイル基地で迎え撃つのである、それが抑止力である、という。
 要するに、高村氏は、二大巨頭とは違って去年の法案は、まぎれもなくいかがわしかったと自覚しているのだろう。そのための強弁としか考えられない。
 第二次大戦のとき、日本の多くの人々が飢えに苦しんでいるとき、日本海軍は、時代おくれの大鑑建造を推進した。軍事費の国家予算への圧迫は、日本は勿論であるが、欧米諸国も同様であった。軍縮会議や不戦条約は、平和のためでもあるが、財政的にも危機的だったのである。日本の国家予算は6−7割が軍事に食われていた。
 1933年、大阪帝国大学に理学部を新設して、戦争のための科学技術の推進を図ったけれども、海軍用のレーダーの実現には、到底及ばなかった。恐らく、海軍の当事者たちも巨艦大和などが抑止力になるとは、全く想像すらしていなかっただろう。