不可解な佐藤福島県知事の「怒り」……東北関東大震災2週間 

 東北関東大震災が発生して2週間たった。仮設住宅の建設も始まっているが、被害の全容も十分把握できていない。
 やはり被災した福島原発の危機は回避されず、予断がゆるされない情況だという。25日に政府は、半径20キロの外、半径30キロ圏内の屋内待避を呼びかけていた人々に、圏外への自主的避難を呼びかけ、同時に避難命令に備えて欲しいと言っていた。
 たしかに判りにくいが、それぞれ、皆さん、いろんなご事情がお有りと思うので、避難できる人は避難しておく方がよい、と聞こえる。でも本当に大丈夫だったら、このような判りにくいことは言う必用はないので、避難できない人は、取り残された気分になる人もあるだろう。各自治体は住民の近くにいるのだから、もう少し積極的に動いてもよいかとも思う。
 被災された自治体の方は、いろんな思いであろうと思う。13日だったと思うが、テレビにある防災担当の方が出ていた。作っていた堤防を津波が越えたことを無念な思いで語っていた。それと避難する場所の不徹底だったことを悔やんでいた。アナウンサーが、そうすれば、もう少し被害が少なく……と言いかけたのを制して、嫌、被害者は一人たりとも出してはいけなかったのです。と無念をこらえていた。
 歴史を教訓とできていなかったのか、と思う。あたかも「減税日本」と称する怪しげなグループが、地方自治体の選挙で、圧倒的な得票数を得ていた。こういう傾向が、「カネ」にならない、「カネ」がかかる防災の備えが不十分なこととして、各末端の自治体には結果していたのかとも思う。
 石原慎太郎が「天罰」と言った。もし「天罰」なら、そういう「カネ」信仰に対する「天罰」なら、そうした日本の人々のエゴをいじって票を集めている石原をはじめとする首長どもに下るべきなのだ。
 佐藤福島県知事が、国に、東電に怒りがこみ上げて来る、とテレビのインタビューに答えていた。福島県は、福井県と並んで原発の多い県である。原発事故の危険性は、繰り返し述べられて来たことである。原発事故の問題の指摘は聞いていないとは絶対に言えない。例え、原発建設が、佐藤知事の時代のものではないとはいえ、受け入れている県の知事に就任したものとして、福島県民に知事としての責任が無いなどとはどうあっても言えない。福島県民に計り知れない損害と恐怖と悲しみを、自らが与えた謝罪をまずすべきで、それなくて国と東電に怒りをぶつけるのは、全く不可解である。
 国と東電に騙されたというのなら、自分の無知と不明を、まず県民にわびるべきで、その贖罪として、危機回避に知事としての職を全うすべきだろう。