キャンディーズのスーちゃん(女優田中好子)の最後のメッセージ

 4月25日、キャンディーズのスーちゃん(女優田中好子)の告別式で、スーちゃん自身の肉声の挨拶があったことを、NHK東日本大震災報道での過労が、まだ完全には回復していない武田キャスターが7時のニュースで伝えていた。
 「こんにちは、みなさん田中好子です。今日は3月29日、東日本大震災から2週間たちました。……」と始まる、スーちゃんの声は弱々しいが、明瞭である。紹介する小達一雄氏の嗚咽も聞こえてくる。
 「……幸せでした。」などの語尾を少しあげた言い方が印象に残る。伊藤蘭や、美樹の 弔辞を聞くと、すばらしいメンバーだったのだなあ、と思う。
 小達氏のカチンコなどを用意した演出については、違和感をもつ人もいるだろう。察するに、演出仕立てにしないと、気持ちがとても持たないのではないかと思う。スーちゃんの、自分に迫ってくる最後の意味を、自分風に理解しようとする気持ちは、けなげで悲しいが、田中好子の人生を集約したような表現のようにも思う。
 「かずさぁん、よろしくね。」と、夫君の小達氏への呼びかけは、所帯風にも聞こえた。でも、少し現実のにおいがした。
 伊藤蘭や美樹の心をうつ弔辞のあと、最後のメッセージを、書かれたものではなく、肉声で聞かされることで、女優田中好子は、もう本当に、この世の人ではなくなってしまったのだという現実を感じさせられてしまった。