スーちゃん(田中好子)のことなど

 スーちゃんが、東京成徳高等学校を経て、東京成徳短期大学卒業だというのを見て、ずっと前に、太田政己『恐るべき女子高校―東京成徳短大付属高校の現実』(三一書房1988/9)という本があったのを思い出した。すごいマンモス高校で、オーナーが凄い人だという印象があった。いろいろ恐いようなことが書かれていたが、思い出したのは、この学校の同窓会の催し物として、当時人気絶頂のキャンディーズの有料公演が行われたそうである。奇妙なことに、この女子高の同窓会の会長は、校長だそうである。そして、その入場料は全部、その方向へ入ってしまったそうである。しかも、キャンデーズのメンバーの一人が、卒業生で、芸能活動で忙しくて出席日数などで配慮してもらったとかで、ほとんどノーギャラで出演していたとかいう話が載っていた。凄い守銭奴の学校オーナーの話で、誰が、そのオーナーに絡まれたのかと思っていた。
 父方の曾祖父が広島市長だというランちゃんは日大二高、父親が声楽科教授だというミキちゃんは聖ドミニコ学園だから、その「恐るべき女子高」の卒業生は、スーちゃんだったのだ。
 大変なオーナーだったようだ。でもオーナーのかたをもつわけではないが、スーちゃんたちは、おそらく、よろこんで歌っていたのではないかとも思う。
 それにつけても、告別式でのミキちゃんは、素敵な魅力的な大人の女性として、ちょっと見間違えたし、女優としてのスーちゃんへのオマージュをよく聞くけれども、ランちゃんの女優としての実績も、見逃すことは出来ない。
 ランちゃんは、これからも女優として活躍されると思うけれども、最近では、高橋克実が主演したNHKドラマ『フルスイング』では、結構渋い役をしっかり演じていた。
 ところで、『ゴジラ』や『ユー・ガッタ・チャンス』といったエンタメ系で有名な大森一樹監督の代表作は、やはり1980年のATG作品『ヒポクラテスたち』だろう。日本の代表的な青春映画の一つである。2003年に45歳で亡くなった古尾谷雅人の代表作でもあった。その古尾谷の恋人役を演じていたのが伊藤蘭だった。出番が多くない役だったのに、印象的だった。出番は序盤にすぎない。しかし、このことが決定的な大事な役で、伊藤蘭の役者としての力量をみせた映画だった。