張本勲のいらだちが判らない江川紹子が悪い。 ―心配・江川紹子のライターとしての資質―

 江川紹子サンデーモーニングに出なくなった原因の出来事は、もう一年近く前の話になる。時期遅れもよいところであるが、たまたま、問題の番組の部分をみることがあった。TBSサンデーモーニング2010年5月23日の放送である。張本が、楽天岩隈の「8回途中の」早すぎる降板に対して「喝」とやったので、江川紹子が「えっ」といって、ニコニコしながら、クビを降り続けている。張本が、江川のその様子に、たまらず、解説を加える。江川は、張本の説明に承知しない、というより、理解しない。最後には、「でも、本人に聞いてみないと判らないじゃないですか。」とアホなことを言っている。張本は、困ってしまっている。
 江川がこの番組に出られないようになったのは、張本が、岩隈に喝を入れたのに、江川が「えっ」と言ったことに、張本が不快感をもって、以後同じ番組に出ないとTBSに言ったとからということを、江川がツイッターで書いたから、みんなが知ることになり話題になった。江川はまともなのに、それに怒る張本はいけない。それを聞き入れるTBSも変だ、という声が圧倒的であった。
 番組の録画をみた限り、江川さん、しつこい。張本が、「素人は判らないけれども……」と、言ってしまうのが判る。よく、原則的なことを喋っているつもりなのに、「そうかしら……」と自分の浅はかな見識で、ニコニコと否定なさる御仁を見かけるが、江川さん、まったくそのタイプである。ツイッターでは「えっ」と言ったことに、張本が激怒した、ことになっているが、「えっ」は、その一端である。
 実際には、降板は、岩隈が替えてくれ、と言ったのではなく、監督の指示のようだが、軸になるピッチャーが、最後のところで、踏みとどまれず、降りることがチームに生じる心理的変化、ゲームの展開に与える影響といったものを張本が言いたかったわけで、少しでも、野球に限らず、チームとして何かをしたことがある人なら、判ることである。オープニングゲームを担い、高報酬の岩隈には、それだけの役割があるだろう、つまり、体調が悪くても「渇!」なのである。それは、精神論で言っているのではない。チームでやるゲームでは当然に考えないといけない役割があって、それを全うできないと、どう壊れるかということなのである。「長いペナントレースじゃないですか。」と江川は言っている。長いペナントレースだから、チームの軸は、一つのゲームの危機を、どう乗り越えるかを示さないといけないのである。このゲームでは、監督が、岩隈が乗り越えられないと、判断したようであるが、それならそれで、やはり、危ない岩隈、やはり乗り越えられそうにない岩隈は、まぎれもなく「渇!」なのである。
 ノンフィクションのライターは、多くのインタビューや調査をもとにしている筈なのに、目の前の張本のいらだちが判らないようでは、江川紹子さん、ライターとしてピンチじゃないですか。
 張本は、現役時代から、悪役風だったが、決して精神論を押し付ける人ではない。ただ、誰もが、なんらかのポジションで野球などをしたことがあると思って、それを前提で話してしまうのだろう。そこへ、頓珍漢な野球「ファン」、つまり、自分が無理解なことに自覚がない人から、しかし、何かの理由で「自信」たっぷりの人から、「無知」を根拠に反論してこられたら、何から話せば判らなくなるだろう。
 察するに、張本にすれば「あの人の前では、喋れないよ。」ということだろう。
 江川紹子さん、実はライターとしてのご自身の資質が、問われているのかも知れません。