佐々木則夫(女子サッカーオリンピック日本代表監督)はおかしいのじゃないのか。自分が何を言っているか、分かっているのか。

 ロンドンオリンピック女子サッカーで、日本代表が準優勝となり、NHKは、14日(火)のスペシャルで、「なでしこジャパン、五輪初メダル獲得までの舞台裏」という番組を組んでいた。 もちろん、問題の焦点は、予選リーグで、南アフリカとドローになった試合である。
一 「正々堂々と」「ドローにもちこむ」?
 何を、言っているのか。たしかに、予選リーグは、決勝トーナメントに出場するチームを決める試合だ。だからといって、本番でないことはないだろう。決勝トーナメントのために、主力を温存することも許されるだろう。しかし、「勝つな」「点をとるな」と指示することは、どうだろう。佐々木則夫は、「責任は自分がとる」と言ったという。この意味が判らない。ということは、「勝たない」「点を取らない」プレーをすることは、「反則」だということを認識しているということか。この反則を犯すのは、選手であって監督ではない。佐々木則夫は、その反則の責任は自分がとると言ったのか。
 NHKの番組は、この佐々木則夫の発言に選手が感激したことになっている。おかしいだろう。精一杯、自分の最高のプレーをしなさい。その結果、その後の闘いに、きついところが出て来ても、それは気にするな、そんな雑音は自分が引き受けるというべきだろうい。
 佐々木は、「選手にすまない」とか、とんちかんかなことしか言っていなかった。これが、人気最高の、女子サッカーの日本代表チームの監督だ。日本の指導者の程度がこれだ。 オリンピックの舞台で、豊かでもない国から出かけて来ているチームもいるだろう。その相手に失礼ではないか。世界中に多くの子供たちもいるだろう。なぜ、精一杯のプレーをみせてやろうと言えないのか。
 夏の甲子園で、松井秀喜が、全打席敬遠にあった有名なゲームがある。その前の松井の試合で、ホームランを打った松井が、打球など見送らず、全力で駆け出すのをみたことがある。凄い奴だな、と思った。松井は、全打席敬遠されたが、全打席出塁した。ピッチャーは、打たれたのではない。打たれないために、防御のために敬遠四球で出塁させたのだ。そして、負けたり引き分けにするために敬遠したのではない。勝つためである。
 佐々木則夫は、メダルを獲得するために必要だっというが、そのために、試合している相手チームの存在を無視してよいのか。オリンピックだから、みんなが注目している。NHKも、そのことをもっと考えるべきだ。ちょうど、バドミントンでの失格の事件もあったときだろう。佐々木則夫は、自分で指示したと言う。それは、選手に対する問いかけをさせないためだというが、世界各地から寄り合って、技と体力を競い合うという、尤も基本的な意義を忘却して、これは、ダメになる兆候だろう。
 NHKもしっかり報道しないといけない、というより、報道する能力がなど無いのじゃないか。 「オリンピック はしゃぐN局アナウンサー」(毎日夕刊?)

二 本当は「金」が欲しかった?
 選手が、銀メダルおめでとう、と言われ、「本当は金が欲しかった」と言っているのを聞いて変な印象をうけた。
 放送で、南アフリカとドローになったとき「これで、決勝まで、アメリカとあたることは、なくなりました」と言ったからである。一位通過だと、試合地が遠方になるということは言っていた。それでは、日本が、その地でゲームしなかったら、どこか他のチームがそこで、ゲームすることになることは構わないのか。
 そして、アメリカと決勝までにあたるのを避けておいて、金メダルが欲しかった、というのは変だろう。本当に金メダルをとる気があるのだったら、決勝前だろうが、対戦しないと。金メダルは欲しかったけど、もともと勝てる相手と思っていないのじゃないか。ワールドカップは、澤のミラクル同点ゴールがあった。あれはミラクル以外にないように見えた。つまり実力ではない。澤がPKを嫌がったのは、あのゴールでツキを使い果たしたと思ったのじゃないかと思ったほど、ミラクルというか、めったとないことだ。実力はやはりまだなんだ。そのことは、監督も選手も知っている。
 だったら、スポーツにとって、スポーツ・パーソンにとって必要なことは何かと考えないと、本当の発展はない。

三 日本女子卓球チームの成長
 女子卓球チームの村上恭和監督は、地味な人だが、結構偉いのだろう。もちろん、平野・福原・石川といった個性的な選手を能くまとめているが、三人の直前に至るまでの成長は凄いと思う。シンガポール団体戦で福原が勝った相手は、石川が個人戦の三位決定戦で負けた相手だという。それをランクが石川より下の福原が圧倒した。平野の談話に卓球の神様がくれた銀メダルとかあったが、福原が、最後の決めたのは得意のバックハンドではなくてフォアハンドだった。それまで一勝しかしていなかった相手は、福原といえば、バックハンドのイメージがあったのだろう。全日本で石川に圧倒された福原は、右腕が壊れるほどのフォアの打ち込みをしたという。日本のチームランキングをあげるために、石川はトラベリング・プレイヤーと言われるほど、海外遠征を繰り返したという。やはり、オリンピックで活躍している選手は、シーズンから大会中でも伸びている人のようだ。
 当然に、誰しも、現状を変えるために、何かやっている。成功することがそれほどあるわけでもない。
 NHKも、漫然としているわけではない。卓球チームのことも、NHKの報道などからしることの一端だ。
 それにしても、女子サッカーの報道は禍根を残す。