埼玉大・松本正生教授には、ご自身、もう少し基本的な勉強をして欲しい。

 NHKニュースで、去年の県知事選挙の投票率が低かった埼玉で、小学6年生140人ほど集めて模擬選挙授業をしたというニュースがあった。とくに20代の投票率が低かったことなどから、選挙管理委員会も何かしないとと思ったらしい。選挙への関心が高まるような教育をということらしい。授業を提案したのは、埼玉大学の松本正生教授で「欧米では実際の政党の訴えを中立性を保ちながら授業に取り入れているが、日本は遠ざけている。啓発でなく、こうした教育が広がることが重要だ」と言っているらしい。
 その模擬選挙は、徳川家康候補、豊臣秀吉候補、織田信長候補としていた。これで、関心をもたそうと思ったのだろうが、選挙における一番の弊害である「人気者投票化」への問題意識がなさ過ぎる。日本社会が、最近蒙ったダメージは、小泉改革によるものだった。小泉の亡国政策を推進したのが小泉が命名した「郵政選挙」で、それは、凄まじかった。高い投票率は、しばしば国を滅ぼすのである。あのときの投票率は高かった筈だ。そのようなことは、このときだけでない。ヨーロッパでも、歴史的にもあることである。
 ついでに言えば、政策も一般的に並べるのもいけない。好みや、感覚の問題になるではないか。新聞などに書かれているテーマを言い換えるのではなく、どういう条件のもとで、何を期待する政策か、そこには、きちんとした根拠と論理と見通しがあるのかという分析をしないと、教育にならないだろう。それは、小学生にではなく、松本自身や、あるいは、松本が学生相手にしなければならないことだろう。
 松本正生が、AKB総選挙―これは投票率高いだろう―の、ぬるいようなことをしているのをみると、松本は、「投票」ということの意味をあまり理解していないではないかと思わざるを得ないのである。協力者の学生の松本やNHKを気遣ったインタビューを聞くと暗澹たる気分になってきた。