かつて、日本は、今の北朝鮮だった? NHK特別番組「巨大戦艦 大和〜乗組員たちが見つめた生と死〜」 2012・12・8(土)の再放送をみて 

(1)海上特攻
 番組を見て、言いようが無かった。巨大戦艦大和は、国威発揚のためだけの浪費であったとか、出航後間もなく攻撃を受け沈んだということは聞かされていた。
 しかし、「大和」の死への航行が意識した「特攻」(自殺)作戦だったとは、何とも言いようがない。現場の指揮官は反対したとあった。しかし、あれだけの物資と労力をつぎ込んだものが、そのまま残っていては、という上層部の思い(出来ない言い訳)が、大和を攻撃されて沈めるということだったとは……、自らの低劣な失策の責任を若い何百人の兵士の命で肩代わりさせたのか。
 かつては、たった1人の兵士の命を救うために自らを犠牲にして責任を全うした上司の話が話題になったのではなかったか。
 とんでもない荒廃ぶりがあったのだと実感した次第である。
(2)北朝鮮の無謀
 戦争を始める前に、日本の軍事費は、国家予算の6割を越えている筈だ。それでも、軍事技術も欧米の技術水準に遠く及んでいないことは明白だった。これは、大阪帝国大学の新設の理学部で、レーダー開発に取り組ませていたが、その水準は実用化にはほぼ遠いものであった。
 大艦巨砲の時代などとっくの昔に終わっていたことを、海軍の幹部でも知っていた。陸軍の低劣さは、よく話題になるが、海軍は、まだ合理的なところがあると言われていた。2・26事件に際して、昭和維新を叫び首相官邸などを攻撃したグループに海軍の艦隊は照準を合わせるように、東京湾に艦を進めたと聞く。
 そのように陸軍に比べてはましだと言われていた海軍の問題を分析した半藤一利の仕事は、本当に大事である。そういえば、満州事変を起こし、泥沼へ引っ張って行ったのは、関東軍であったが、直接、太平洋戦争を起こしたのは、海軍だった。
(3)危ない安部の登場は、日本の危機の表象
 安部晋三は素朴なインフレ政策を、自身満々に主張する。批判する人たちは、あきれたように言うので、攻撃が鋭くないのである。かつてドボンした安部が、どうして自身満々かと言うと、自分で考えたというより、あまりにも素朴な論理を現実感なしに、素朴に納得しているからである。かつて、植草一秀にもレクチャーをうけていたようだが、よく分からなかったのだろう。
 この素朴な劣等生が「国防軍」などと言い出す。日本は、原発もコントロール出来なかったのだ。中国でさえ、原発災害用のロボットを作っていたのに。
 高速道路のトンネルの天井が落っこちるような日本がどうして、軍隊を維持できるのか。北朝鮮のミサイル発射で、危機を煽る前に、日本の産業や教育の構造の危機的状況を認知して欲しい。