藤原帰一さんの仰ることの趣旨、「両首脳の個人的な信頼関係」が必須?拙くないか藤原帰一!


 先週の何曜日であったか、NHKのニュースウォッチ9に、東大の政治学の教授の藤原帰一さんが登場していた。安倍晋三が訪米してオバマとの日米首脳会談に臨む前の話である。
 藤原さんは、安部がオバマと会談するにあたって、日米関係においては、両首脳の信頼関係が必要であると言い、例として、ロナルド・レーガン中曽根康弘ブッシュ・ジュニア小泉純一郎をあげ、とくに、「ロン・ヤス」と呼び合う演出をした両者が、当時の懸案の貿易摩擦を悪化させなかったと言っていた。ロン・ヤスも演出だが、小泉のキャッチ・ボールは、もっと臭い演出だった。
 逆にいうと演出できるほどの関係が既にあるということである。レーガノミックスといわれたレーガンの政策と、小泉改革の先駆者である中曽根の国鉄潰しをはじめとする国土荒廃路線は、基盤が同じなのである。個人的な信頼関係でもなんでもない。まさにリアルな関係なのである。そのことは、ネオコン・ブレーンに依存していたブッシュ・ジュニア国賊竹中平蔵などに依存していた小泉との関係でも言える。
 藤原さんの仰ること、専門家どころか、普通の知識人の言葉にしても、あまりにも拙いのではないか。つまり、穿ってもいないし、論理的には、むしろ逆である。互いに規制緩和のコンザーバティブ同志だから、にこやかに演出できるのである。それを先ず信頼関係を築いてだって?ほどほどにせいよ!藤原帰一! NHKも健介も国民を舐めとるんか。
 NHKのニュース・ウォッチ9での、この拙さにこれと言った反応が無いのも辛いことである。
 尤も、その段でいけば、オバマと安部の間には、信頼関係は出来ないよ、と言わんとしているのかとも思う。オバマ安部晋三には、共通するような基盤は何もないからである。それで、藤原さんは、オバマは実利的思考の持ち主だから、みたいなことしか言わない。


 藤原さんが、少し前にも、中国のことに関して、一つの課題が「民主化」dであると言っていた。つまり、中国共産党支配の問題を仰っているのだろうが、現実の中国は、この共産党のコントロールが不全である危ない状況だとも言われている。つまり、各地方有力者が、自らの利益に没頭する有様である。そのことは、いろんなところへ出ている。以前から環境の問題が言われている。共産党中央の危惧をよそに、各地で環境破壊が進行している。 第2次大戦前の軍閥が割拠する有様ほどではないにしても、その軍閥の割拠を想起せざるを得ないような状況が透けてみえるようである。中国では、かなり前から「監察制度」への関心が強かった。それは、官僚的にならざるを得ない、地方ボスの利益主義による、いわば無政府的状況が進行しているからである。公害問題、環境問題は、政治問題でもあるのである。
 藤原さんは、それも含めて「民主化」と仰っているのかも知れないが、中国内部の格差や荒廃、党や政府の苦悩をリアルに受け止めた発言とは思えなかった。今の時代、きちんと考えて発言していると思われる人が少ないので、期待して聞いていたのだが、あまりにも、不勉強の思い付きといった印象をうけた。今日の気鬱の要素が増えたようである。