不可解なこと……その① 安倍晋三内閣の政策

A
 貨幣や金融をいじることによって、経済発展に成功した例はあるか。歴史的に見て、大崩壊を導いた例をみることは、枚挙にいとまないだろう。
B
 不況を克服した政策としては、これ以上有名なものはないのが、フランクリン=ローズヴェルトニューディールである。ところが、どういうわけか、このことは語ることさえしない。口にするのも、物知らずか、何かのような気持ちになるのだろうか。
 人々が口にしなくなったのは何故なのだろうか。さっぱり訳がわからない。日本の経済学者の知性が劣化したことと関係があるかもしれない。米大統領オバマは、グリーン・ニューディールをスローガンとしえたのは、まだ、アメリカもアメリカの知識人も政治も、日本ほどは駄目になっていなかったようである。
 そのニューディールは、①に農業調整法で、農産物価格の安定と農民の救済をしている。②にNIRAで、生産の規制と労働者の団結権・団体交渉権を認めて労働者の適正賃金の確保を計ったこと、③テネシー川流域開発公社で電力供給し、失業者を吸収した、④またNIRA違憲判決をうけてワグナー法で労働者の権利拡大したことなどであることは、高校で誰でも学習することである。
C
 近年、日本では、これと全く、逆の状況を作り出してきている。社会政策、つまり労働者の権利縮小、賃金低下といったことばかりである。
D
 安易なインフレ政策は、金融についての誤った認識から来ているということは、多言を要しないことである。
E
 震災時の総理大臣であった菅は、東日本大震災の対応について汚名を着せられている。菅に汚名を着せることで免れようとしている者たちの隠れ蓑にされてしまっている。民主党政権批判の格好の材料にされてしまっている。つまり、菅には、非常に気の毒であるが、国民に不利益を与えた連中のための、菅直人は、格好の材料なのである。
 菅直人は、ピエロとして、国民に不利益を強いる道具として利用されたという責任を徹底的に反省しなければならない。
 そのために、本当に責任者が不明確になっている、ということ、折角の政権交代が残念なことになっていることに、菅が利用されているということを、菅直人は、被害者になるのではなく、元総理として、国民の利益のために、自分という道具が、国民の不利益を招いていることを自覚しなければいけない。
F
 例えば、菅は、TPP参加を、第二の開国、と叫んだ。第一というのは、幕末の開国を言うのだろう。どんな状態だったか、菅は、何も勉強などせず、無知のままなのだろう。幕末の日本には、裁判のシステムは無い、少しは始まっていた木綿産業は、輸入品のために全滅する、數少ない日本の産業の染色の原料の絹は外国に思いっきり流出する、日本史上、これほどの崩壊状態はなかったのである。日本全国集団ヒステリーに陥ったのである。「ええじゃないか」と踊り狂った話は知っているだろう。徳川幕藩体制は倒されたのではなく、ほぼ、日本は、無防備な開国で壊滅状態になってしまったのである。それが第一の開国だったのだ。
 それでは第二の開国は、第二のあるいは第三の壊滅状態を現出するのか。
G
 菅の話になってしまったが、その菅があって、誰に回されているのか、安倍晋三である。「ええじゃないか」のさわぎは杞憂であればいいが。