11日放映のNHKスペシャル『自衛隊と憲法 日米の攻防 』をみて…………15日再放送予定

 2013年8月11日(日)午後9時00分〜9時58分に放送さたNHKスペシャル自衛隊憲法 日米の攻防 』は、気のせいか、変な印象をうけることがある。

一 どうして、改憲かそれとも、の択一問題になるのか。
 第1は、番組の司会をするプロデューサーが、問題をわかりやすくするためか、集団的自衛権を認めないのか、肯定するのか、憲法を改定するのかしないのか、といった2者択一の議論にすることである。プロデューサーとしては、国の「かたち」を決める大切な「選択」だと力説しているが、アンケート同様に、単なる選択となって議論にもなっていないのではないか。
 小・中・高の学校現場で、「授業でディベートを」なるものを流行らしたことがあった。例えば、原発新設、反対か賛成かとやるのである。原発の使用済み燃料の処置の未解決は当然、安全性は何の保障もないのである。反対とか賛成とかのレベルの問題ではない、ところが、ところが、小中高生に、いとも簡単に新設賛成、建設推進の「立場」を仮想でも用意してしまっているのである。論理的には、あり得ない立場がいともたやすく確立するのである。
 平和主義は、戦後日本の国是だった筈である。それが、どうして、一選択肢になってしまっているのか。
 さらに変だったのは、番組の構成が、アメリカの提案の平和憲法と軍備要請の対日政策における矛盾というニュアンスを帯びているとくことである。日本国憲法第9条が、1928年のパリ不戦条約の延長にあるものであることは、みんな知っていた筈である。それは、戦争は侵略戦争のみを言うのか、と日本が破ったその条約を念頭においた質問に対して、吉田茂は、戦争するときは、自衛だというんだ、と回答したことで明らかである。
 NHKのプロデューサー(局長だったか)たるものが、いかにも頼りないのである。

二 「一国平和主義」とは何だ。
 集団的自衛権というものを主張しているという外交官が登場していた。いずれ、軍隊をもつのだから、そのときにアジアの国々に侵略の軍隊と言われる、PKOがらみだったら、国連の要請ということで、そのような侵略のための軍隊という非難をかわせるというのである。そこで、自分は知らない、という一国平和主義では駄目なのですよ、と言うのである。そもそも、平和というのは、国際的なものだろう。一国平和主義って何のつもりなのだろう。この外交官は、外交官になるまでも、なってからも、日本国憲法は、一国平和主義だと解釈してきたのだろうか。1928年のケロッグ=ブリアン協定、不戦条約は、勿論日本も最初の締約国になる栄誉をかちえているのだが、軍備による負担がどうしようもなく、それぞれの国を追い詰めているという深刻な問題があった筈だ。