石破のテロ発言― 失言かそれとも戦術発言か

 1
 神津陽が神津陽塾の回覧板(1013.12.20)で、日本のジャーナリズムの猪瀬叩きというか、絶好のターゲットと化した猪瀬虐めに盛り上がっているのを皮肉にみて、秘密保護法には腰砕けだったことを書いている。
 猪瀬は、オリンピック招致に関連して、「(原発事故による)汚染のエリアは非常に狭い」と言った(毎日夕刊9月6日)ことを、9月7日の本ブログが書いている。竹田委員長が同趣旨のこと述べ、福島から抗議をうけている。
 週刊文春の最近号に近いものだろうが、自民党のリベラル派の「変節」を記事にしている。谷垣がリベラル派だったそうである。かつてはスパイ防止法案批判の急先鋒だったのに、今回「ヘラヘラと笑っていた」と書かれている。河野親子など名前も出てこない。
 海江田の党首討論は、気合いが入った喋り方のようだった。声の大きさでは、いつもヘラヘラの自民党みんなの党派」(渡辺派)の渡辺でさえ、衆院で賛成しているくせに、気張って参院で手続きを理由に攻撃しているのだから、安部にへらへら返しされるのが関の山である。
 しかし、海江田の「官僚のための、官僚による、官僚の……」と言ったのは、官僚批判の風潮下でのキャッチフレーズとよいと思ったかどうか、あまりよくない。
 今、問題なのは、極めて低劣な政治家が、強圧的に官僚を統制しようとすることである。逆に考えれば、それが為されるほど、官僚の程度も下がったということであるが、今の「スリー・A」とか言われる政治家の政治は、自国のことながら情けない。
 スリー・Aとは、安部・麻生・甘利のことだそうである。いずれも世襲議員ではないか。しかも、漢字も読み切れないのが話題になった世襲政治家である。この低劣な政治家が、低劣であるからこそ官僚を統制しようというのである。

 2
 だから、海江田が官僚批判するのはおかしいし、きちんとした批判になっていない。
 問題は官僚ではなく、官僚の劣化である。それは、政治家のエゴによるのものである。政治家を批判しないといけないのである。戦後の再建日本を、官僚は必死に構築してきた。その後、とくには中曽根以降、政治家……中曽根、小泉、安部……が、人々がやっとの思いで構築してきた「日本」を壊しまくっている。
 海江田もきちんと勉強した経歴が見当たらない。
 とにかく、神津の書いたものをみて(神津は報道のことを書いていたのだろうが)、身を挺してでも阻止するという迫力を野党がみせることが出来なかったのには、石破のテロ発言が効いているのだろう。
 石破の発言は、絶好の自民党攻撃の材料と思われたが、テロという言葉にとらわれれて、テロで表現される政治に対する認識能力、思考能力の無さから、「テロ」と言う言葉に、春日大社の神木が持つようような呪力を感じた野党へのボディ・ブローとして効いていたかと思うとやりきれない思いである。
 日本政治は、まだ呪術の世界かと思う。スリー・Aは、世襲の呪術師か、辛い時代である。

 3
 なお、テロについては、首藤信彦氏の著書、発言をもっと参考にしたいところである。